長編部門 入選作品発表
第9回 新千歳空港国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門ノミネート作品を発表します。今年度は25の国と地域から応募された42作品の中から、5作品が入選しました。入選作品は映画祭期間中に上映され、国際審査員による審議の結果、賞が授与されます。
『群島』
架空の群島について描いたドキュメンタリー・アニメーション映画。それは想像上および言語上、そして政治上の領土に関する物語。夢か現実か、またはその中間なのか。『群島』はドローイングと会話を通して、ある場所とそこに住む人々の様子を伝え、空想することで、私たちが生きる世界と時代を覗かせる。
字幕制作協力:ケベック州政府在日事務所
フェリックス・デュフール=ラペリエール
『バーバー・ウェストチェスター』
バーバー・ウエストチェスターは将来有望な天文学者で、自分の人生のすべてを無視しようとしている。NASAでインターンをすることになったバーバーは、何もかも見ないようにすることが難しくなり、代わりに人としてのあり方を学ばなければならなくなる。
ジョニ・フィリップス
『マイ・ラブ・アフェア・ウィズ・マリッジ』
ゼルマは幼い頃から歌やおとぎ話の影響で、「女の子はこうあるべき」という社会の期待に応えさえすれば、愛がすべての問題を解決してくれると信じ込んでいた。しかし、大人になるにつれ、愛という概念に何か違和感を覚えるようになる。適合しようとすればするほど、彼女の体は抵抗するようになるのだ。女性の内なる反抗を受け入れる物語。
シグネ・バウマネ
『銀色の鳥と虹色の魚』
"私たち家族は特別だ”と語るのは、映画監督レイ・レイの父、レイ・ジャーチー。創意に富み、心を打つアニメーション映画の音声トラックで、彼は1960年代の激動の時代での家族の苦悩を語り始める。実の父親であるレイ・ティンが田舎に送られ、ジャーチーは妹と病気の母親と一緒に残った。母親が亡くなると、制度上ティンは戻って子供たちと暮らすことができず、子供たちは孤児院に預けられる。ほどなくして、歴史はまたしても繰り返す。ティンは裏切り者の烙印を押され、再教育施設に送られることになる。家族はバラバラになり、手紙を送り合うことしかできない。娘たちは大学へ進学し、ジャーチーは新しい母親と共に田舎へ送られる。彼らは皆、再会する日を待っている。
レイ・レイ
『とつくにの少女』
昔々、遠く遥けき地に二つの国ありて――。
世界は「内」と「外」に分断、
呪いをもたらす異形が棲まう地は“外つ国”と呼ばれ、
人々から恐れられていた。
ある日、人住まう地“内つ国”との国境で
一体の異形が打ち捨てられた 死体の中から一人の少女を拾う。
少女は自らを「シーヴァ」と名乗り、
自身を拾った異形を「せんせ」と慕った。
相容れぬ者同士が出会ったのち紡がれる、
密やかな調べ――。
これは朝と夜、
その宵に佇む、
ふたりの為の物語。
久保 雄太郎、米谷 聡美